2005年04月14日

日本人の理解力はアメリカ人より落ちたか?ー受験の弊害ー

最近ブログで映画評論を書き始めたわけだが、共感できて、TBしたいと思えるようなブログを探すため、同じ映画のタイトルのついたブログを流し読みしている。残念ながら、TBしたいと思えるブログはほとんどなく、そのあまりのレベルの低さに驚いている。特に”サイドウェイ”への評価があまりに低いのに愕然とし、このブログを書くことにした。
 
”アビエイター”にしろ、オスカーこそ主要部門で逃したが、今回のアカデミーでも多くの賞にノミネートした秀作である。この映画の魅力は一言で言うと、伝説の人物ハワード・ヒューズの魅力につきる。大ヒットするハリウッド映画を作る、アメリカで1番の大金持ちになる、世界最速記録を打ち立てるという1つでもほとんど不可能に近い夢。それを3つとも現実に追い求め、もちろん才能、環境もあるが努力によってそれを実際に達成した人物の偉大さに共感し、憧れるという非常に単純な映画である。努力すれば何でも可能な自由な国というアメリカン・ドリームが息づくアメリカ人が酔いしれるのは当然であろう。
 
しかし、日本での評価はどうか?私が読んだブログでは共感できなかった、3時間は長くて疲れた、特に後半がだれたという意見がおおくみられた。この映画を見に行く目的も、夢を追い求め、実現した人物の人生に酔いしれるというよりは、レオ様を見たいという非常に軽いノリのほうが圧倒的に多いのではないか?そうなると、映画での前半でのかっこいいレオ様が、後半では気のおかしくなったオジサンになるわけだから退屈になるのもしょうがないのか?しかし、この映画は魅力はむしろ後半だハイライトとなる法廷シーン(空への夢を語り、負けて当然の法廷で勝利に導いたシーン)と、周囲にキチガイ扱いされながらも完成させた強大な飛行機が空に舞い上がるシーンはいずれも後半であるいつから日本人は、こうした、あることを達成したことという美への共感を、なくしてしまったのだろうか?私は見たことがないが、NHKの人気番組”プロジェクトX”に感動するのは中高年だけなのだろうか?
 
サイドウェイに至っては、アメリカのほとんどの主要都市の批評家協会賞を総なめにし、アメリカ中でピノ・ノワールブームを引き起こしているほどの大ヒット作だ。教養があるとかないとかではなく、人生の深みがある程度わかれば共感できる映画だろう。残念ながら日本のブログでの評価は非常に低く、退屈だとか、共感できないとか散々で、TBしたいものは1つしか見つからなかった。
 
それでは、なぜ日本のブログで、本家アメリカの一流批評家とは全く正反対の、負の評価が氾濫しているのだろうか?第一の問題は”オレ流”の氾濫であろう。ここでまず本当の”オレ流”について勘違いしていると思うのだが、落合監督は3冠王であり、歴史に残す不世出の野球人の一人だ。だからこそ”オレ流”が許されるのだ単なる市井の人が、なぜこれほどに自信を持ち、自分の意見をとうとうと述べられるのかは本当に理解に苦しむそこには権威あるものへの尊敬の念などまるでない映画についてはプロである批評家すべてが素晴らしいといっっていようが、どこ吹く風で、オレ的には退屈だったで終わりであるこの自己の能力への盲信はどこから来るのか?テレビゲームのやりすぎで、現実とバーチャルの区別がつかなくなっているのか、それとも教師への敬意の欠如が、悪い点数をつけている教師が馬鹿だとか、こんな学校の授業で点数が悪くても俺は天才ミュージシャンだから大丈夫だと思い込んでいるのか?この発想は非常に危険なものとなりうる。天才である自分を認めない社会への敵視は犯罪、無差別テロへと結びついていく。小学校への乱入事件、突然見ず知らずの人へ切りつけるなどの事件は、”すごい自分”を認めない社会への敵視からきているのではないか?この過大な自信と権威への尊敬の念の欠如が結びついた”俺流”が、こうした批判ブログが氾濫する第一の理由だろう。
 
私の感覚では、これだけの賞をとっている映画に批判を加えるのは非常に勇気のいることである。その批判が非常に説得力のあるのものでないと、数多く書かれた専門家による賞賛よりもすぐれたものでないと、恥をかくことになるからである。日本人の羞恥心の低下についてはいまさら述べるまでもないだろう。電車の中での飲食、化粧、馬鹿騒ぎ。こうしたことは10年ほど前まではマスコミを賑わせたが、今では話題にもならない 
 
3番目の問題は、日本人特有の”赤信号みんなで渡れば怖くない”の発想であろう。羞恥心のない少数派だった電車での飲食もこの”みんながやっているから大丈夫である”という意識により多数派へと変わる。この権威ある賞へを獲得した映画への批判も、1.過大すぎる自信2.羞恥心の欠如3.赤信号意識が重なり合い、圧倒的な多数派を占めるに至ったのだろう。
 
大分回り道をしたが、標題に戻る。この二つの映画への批判から考えられるのが、日本人の考え方に深みがなくなってきているのではないかということだ。20代の部下と接していて思うのだが、思いつきで物事を言い過ぎている。頭が非常に切れる部下でも考え方にもう一歩が足りないその少しで答えが変わるということは、多々あるものだ。この映画についての評でも分かるが、他人の意見を聞かず、じっくり考えずに感覚で”あー、長かった。オレとは合わなかった”で終わりである。
 
かつてはアメリカ人は皮相的で、考えに深みがないという声を耳にした。昔は確かにそう思った。”プロジェクトX”に感動するアメリカ人はあまりいないかもしれない。しかし、現在はどうだろう?アメリカ人はアビエイターとサイドウェイに感動できるが、日本の若者は長い、深みのある映画を理解できなくなっているのではないか?
 
受験の弊害で論述問題が国立を抜かしてなくなり、4択などの選択式や、記憶力のみを試されるようになり既に数十年たっている。我々の年代はまだ読書をしていたこともあり、この受験の弊害による読解力、論述力の低下を補っていたのだろうが、読書(漫画でも小説でも中身の濃いもののこと)もあまりしなくなった世代ではこの論述力、読解力が相当落ちているのではないか?
 
まともな小説を読ませ、その感想文を書かせるという教育をしていかないと日本の将来は非常に不安だ。教育の変化が求められている。
 
 

cornell5553 at 09:56│Comments(5)TrackBack(2)社会評論 

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1. グローバリズム批判「ニーチェの新訳」  [ 適菜収オフィシャルブログ はさみとぎ ]   2005年05月04日 23:12
内容紹介『キリスト教は邪教です!』こんな感じです。 << キリスト教は「希望」というものを上手に使います。苦しんでいる人たちに対して、簡単に満たされて用済みになってしまわないような「希望」を、彼らの手の届かないところにわざと置くわけです。  また、キリス
2. オレ流  [ 【オレ流】について ]   2005年05月28日 12:29
オレ流オレ流(−りゅう)は、プロ野球選手・落合博満の思想・行動・流儀を指す造語。株式会社中日ドラゴンズの登録商標でもある(2004年出願)。狭義では「球界の常識・定説に囚われない、普通とは違う独自の変わった考え」という意味。自著『なんと言われようとオレ流さ』に

この記事へのコメント

1. Posted by Moebon   2005年04月16日 02:10
fijiさん、こんばんは。
日本人の羞恥心の低下は、ひどいものだと私も思っています。本当は日本人は礼節を重んじる国民なのにと思うのですけれどね。

今の人達は(こう言うと歳という証拠になってしまいますが)、権威や見かけに騙されたり身近にいる数人の評価だけで物事の評価、判断をしがちですね。
単純化して判断してしまうと言う事は、論理的・多面的に物事を見る思考にかけている点も否めません。
安直(安易)に考えてしまう思考はある意味恐ろしくもあります。
読書をするということがなぜ大事なのかも理解できていない今の教育面もあるのでしょうね。
2. Posted by Moebon   2005年04月16日 02:13

本を読み、自分の考えや思考を鍛える事、の教育を当たり前のように行えていない今の日本の教育(ゆとり教育といわれているだけのゆとりのなさ)の問題もありますし、これが社会に出て仕事をするという場になり、ここら辺の事が成されていないとこれからは、相当苦労するのではないかと懸念されますね。
仕事感にしても、対恋愛感にしてもおんなじ事だと私は思います。
Why・なぜ?・・・なのかと考える(思考する)、という事をしなければ何の面白みもないのに・・・
などと思ってしまいます。
恋愛感は・・・もうあんまりwhyはやめようと思いますが(笑)

Critical に考えることを鍛えていかねば・・ですね。(ふふ)

fijiさん、すみません。長くなってしまい、一度にコメント出来ず2回投稿です。

映画、おもしろそう!両方とも観たいです。。。レイトショーも今のところ間に合わななさそうです。(残念)
3. Posted by fiji   2005年04月18日 19:55
Moebonさん、コメントありがとうございます。やはり読書が問題だと思います?深く考えずにひらめきで判断するのは判断ミスにつながりますからね。恋愛に関しても深く考えない安易な結婚による離婚が増えてますよね。でもあんまり考えすぎると勢いがなくなって結婚が遠のくから、まあ微妙ですね。
4. Posted by diazepam   2006年04月12日 23:33
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