2005年04月05日

映画”アビエイター”ー人生をかけるものを見つけられるか?−

あびえいたアビエイターは、一言で表すと、”一つのことに人生をかけた一人の男の物語”といえるだろうかハワード・ヒューズにとってはそれが”空への、飛行機による挑戦”だったのだろうハワード・ヒューズは実業家、映画監督、プレイボーイとしても著名であるから、もちろん一言で言い表せるような単純な人間ではない。しかし、この映画ではヒューズの空への情熱のみに焦点を当てているので、非常に分かりやすく、誰もが楽しめる映画となっている。”ラスト・サムライ”も手がけた脚本家が非常に優秀だと感じた
 
一度きりの人生で、何か生涯をかけて追い求めるものを見つけられた人は、非常に幸せであろうヒューズが空への挑戦を成し遂げることができたのは、もちろん父から莫大な遺産を引き継いだこともあるだろうが、それ以上に、空への情熱が並大抵ではないことのほうが遥かに大きいだろう試作品の、飛行実績のまるでない、世界ではじめてのタイプの飛行機の試験飛行を自分で行うことなど、ただのお坊ちゃまにできるはずなどない
 
ヒューズは新型機の作成に全く妥協せず、莫大な時間と資金をかけ完成させると、自ら乗り込み、世界最速記録を打ち立てるその成功に満足せず、次にはリンドバーグの世界一周記録に挑戦し、これを破ってしまう史実では1年ずれているのでどうも嘘らしいが、映画では、この記録的飛行中に無線で指示を出し、次の夢である航空産業への進出まで果たしてしまうーTWAの買収であるーその空への情熱は誰にも止められない

この映画で観客がヒューズに引き付けられるのは、やはりこのヒューズの情熱がまぎれもない本物だからだろう。多くのハリウッド女優と浮名を流し、冒険家としても、実業家としても成功しているヒューズは挑戦をやめようとしない。なぜその成功によるステイタスに満足しないかといえば、それは、空への情熱が止まらないという一言につきるだろう普通の人である観客には真似ができないから、それだけ引き付けられるのだろう。特に開国以来フロンティア精神にあふれるアメリカ人がヒューズを英雄視するのは当然だろう

TWAの社運をかけた双発機の試験飛行でビバリーヒルズに墜落、九死に一生を得るが、心臓が左から右に移ってしまうほどの大怪我を負う その逆境の中で、精神病も誘発した状況で、パンナムと組んだ上院議員から、TWAを売却したら汚職を公開しないという誘いをかけられれば、それに乗らない人物など現代のこの日本に存在するのだろうか?そうした状況でも彼は屈せず、法廷で闘い、見事に勝利を収める。そこにあるのは、莫大な私財を投じてまで、ビジネス上まるで意味のなくなった巨大な飛行機を飛ばしたいという情熱だけである。そこにアメリカ国民も共感したから勝てたのである多くの見せ場のあるこの映画で、その巨大な飛行機の離陸シーンと並んで最も感動的なシーンが、この法廷での勝利のシーンだろう

数あるヒューズの恋人の中でも、強く、個性があり、知的なキャサリーン・ヘップバーンとの恋に焦点があてられている。ケイト・ブランシェットの演技が素晴らしい二人が惹かれあうきっかけとなる真夜中の空中飛行デートは、息を呑むほど美しい。映画で最も好きなシーンだ精神的に双子のような彼女との別れで、ヒューズは徐々に精神を壊していくそして、精神的にずたずたになったヒューズを立ち直らせるのが、エヴァ・ガードナー。彼女は母親的な描かれ方をしている。二人が選ばれたのは、この二つのタイプがアメリカ人の理想の女性像であるからだろう。このヒューズの恋愛もこの映画の楽しみの一つだ

しかし、レオナルド・ディカプリオがオスカーをとれなかったのは本当に残念だ彼はヒューズの情熱と狂気を見事に演じきっている。最初に彼に出会ったのは”ギルバート・グレイプ”だったが、レオの演技は素晴らしく、印象にいつまでも残っていた。マーティン・スコセッシのヒーローはデ・ニーロからダニエル・デイ・ルイスへ移り、”ギャング・オブ・ニューヨーク”でレオへと移っているスコセッシに認められるということはオスカーをとれるということに他ならない。この二人の新コンビの次回作が今から楽しみであり、このワクワク感は、デ・ニーロ=スコセッシの次回作を待っていたときの気持ちと全く変わらないこの二人のコンビのレベルは少なくとも私の中ではそこまで来ているのだが

 

cornell5553 at 16:39│Comments(1)TrackBack(5)映画評論 

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1. アビエイター  [ AV(Akira's VOICE)映画,ゲーム,本 ]   2005年04月05日 17:17
見応えはあるのに,ドラマが普通で印象が薄い!
2. ★「アビエイター」  [ ひらりん的映画ブログ ]   2005年04月06日 03:43
公開初日のナイトショウ(24:00〜)で見てきました。 いつものチネチッタ・・・1本観ても駐車場代200円で済むからね。 初日なので、ディカプリオのナマ写真もらった。 本編始まる前にディカプリオのご挨拶ビデオも流れました。 今後、日本がらみの映画を作りそうだ
3. アビエイター/夢を掴んだ男  [ shinuma de cinema (映画ネタバレの部屋) ]   2005年04月06日 03:51
アビエイター ハワード・ヒューズ(レオナルド・ディカプリオ)はわずか18才にして 父親の死で、世界一の大富豪となった。彼の一生かけた夢は飛行機だった。 大富豪になり初めて手がけたのは映画制作、巨額の資金をかけて 空軍のパイロットを描いた「地獄の天使」を制作する
4. 映画:アビエイター  後味が悪すぎる……。  [ (ゲーム×読書×2ch)+勉強=これが今の私 ]   2005年04月12日 19:09
今日映画アビエイターを見てきた。 一言で言うと、色んな意味でツライ……(いやほんと)。 伝記らしいんだろうけど、最後まで主人公(主演ディカプリ男)に感情移入出来なかった。大富豪が純粋な夢を追いかけて破産するが、最後には一応ハッピーエンド。それはいい。そうゆう
5. 『アビエイター』THE AVIATOR  [ CinemaCoconut ]   2005年04月13日 22:50
実在したアメリカの大富豪ハワード・ヒューズの波瀾の半生を描いた作品。 映画監督として、飛行家としても歴史にその名を残した。 ハリウッド女優たちとの華麗な恋愛も彼の夢とロマンの人生を語る。

この記事へのコメント

1. Posted by nicoco   2005年04月13日 22:52
TBさせていただきました。共感する部分が非常に多いですm(_ _)m

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